例えば、あいている穴にボールなどを落として入れる「ポットン落とし」です。
この遊びを構成するのは「ボールを持って/あいている複数の穴の中から一つに注目し/ボールを持った手を穴に近づけて/ぶつけないように中に通し/ちょうど良いタイミングで手を離し/下から出てくることを期待をもって見続け/転がり出たボールを視線で追って/手を伸ばして取る」、という一連の動作と認知です。このどれかがうまくできないと、このおもちゃで遊ぶことが難しくなります。このプロセスの中には、たくさんの発達を促す機会が隠れています。例えば、 目と手を連動させて動かす力が十分育っていないと、入れたいと思った穴にボールを入れることができません。また、穴の近くで手を離すとボールは一旦視界から消えますが、その次に下から出てくるという次に起きることが見通せること、モノの永続性とか随伴性とかの力がないと見続けることができません。裏を返すと、これらがもう少しでできそうな段階の子にとっては、発達を促す最適な玩具となります。
このように「玩具で遊ぶ」ことは、実はたくさんの作業が関係しており、様々な能力の発達を刺激しているのです。