アートチャイルドケアの保育理念である「何を学ぶかよりも、どう学ぶかを考えられる子どもを育てたい」。これは「問いに対する答えではなく、その考え方や学び方を学ぶことこそ教育である」という考えに基づいています。
ではなぜ考え方や学び方の方が大切なのでしょうか。それは社会全体が日々変化していることが関係しています。20~30年前は考えられなかったけれど、今では当たり前になっているということが沢山あります。例えば、一人1台電話を携帯することは、その一つとしてイメージしやすいのではないでしょうか。また逆に、過去には当たり前だったけれど、今ではほとんど目にすることがなくなったものもあります。ビデオテープやカセットテープ、電車の切符や公衆電話等、知らない子どもも少なくないかもしれません。
このように、技術や価値観、考え方、社会的常識は常に変化し続けています。現在から未来についても同様で、私達が今当たり前だと思っていることが、10~20年後も同じとは限りません。その為、大人が答えを示すのではなく、子ども達が自分自身で解を見つける習慣を身につけることが、未来を生きていく上で大きな力となるのです。
それを踏まえ、実際にはどのように子どもと関わっていけば良いのでしょうか。例えば子どもと積み木をする時。良かれと思って、ついつい「ここをこうしたら…」と口を出したくなるかもしれません。そんな時はぜひその気持ちをぐっと抑えて少しだけ見守り、子どもが自分で考える機会を作ってみましょう。はじめは、ひたすら並べて積み上げることが楽しかったり、崩した時の動きや音が心地よかったりするかもしれません。その中で、「並べると電車みたいだな」「これを乗せるとおうちみたいだな」と創造力が膨らんでいきます。また作った物が崩れる経験を重ねることで、「こうしたらどうかな」と自ら考えようとする力がついていきます。“あと少し”のところで上手くいかずに進まない時は、「どれを乗せたら良いか試してみる?」と一緒に問題解決をしてみるのも良いかもしれません。
10~20年後を見据えて関わろうとすると難しく感じますが、“子どもの学は遊びから”です。日々の生活や遊びの中で、子ども自身が考えられる時間を少しだけ意識して作っていくことが、“変化に対応できる力”に繋がっていくのではないでしょうか。