私たちは日々、子どもたちの発達のための支援をしています。ズボンが上手に履けるように、お箸がきちんと持てるように、保護者の皆様も忙しい生活の中で取り組んでおられることと思います。
発達には粗大運動、微細運動、認知、社会性、言語…など細かく分かれた領域があり、月齢や年齢により、それぞれ達成する項目があります。育児書等でも「〇か月になると〇〇ができる。」等とよく書かれていますよね。
ただ、注意していただきたいのは、これらは必ずその月齢、年齢でみられるものではなく、多くの子どもたちの発達の様子を平均したものだったり、一定数以上の子どもたちで見られる行動だったりするということです。
この発達の支援で重要な考え方に「発達の最近接領域」という理論があります。これはロシアの心理学者ヴィゴツキーが提唱した理論です。
最近接領域理論では、一人で出来ることと一人では出来ないことの間に「支援があれば、また仲間とならできる」という水準があるとされます。この子どもたちが一人ではできないけれど、少し手伝ってあげればできる水準のことに対して支援をすると、子どもたちは自分の限界以上の成果を体験することができ、スムーズに能力を獲得していくことができます。
例えば、ズボンに足を通して引き上げることはできるが、お尻部分をうまく上げられない場合、お尻部分だけ上げる支援をします。そうすることで、自分でできた!という自信もつき、少しずつズボンを履く力がついてきます。
一人ではうまく履けないからとすべて大人がやってしまったり、逆に一人でできるようになってほしいからとただ見守っていても、その子はズボンを履くという能力をうまく獲得できないのです。
ついつい〇か月だから、〇〇ができるようにならないと…と思ってしまいがちですが、「ちょっと頑張るとできることはどこかな」という視点でお子様の発達をご覧になってみてはいかがでしょうか。