年末年始の長期休みが終わると、保育園への登園に不安を感じる子も多いでしょう.登園ではママやパパに抱き着いてべそをかいている光景もみかけますが,そんな我が子を無下に引き離すのもためらわれますよね.
子どもたちは大人よりも感覚が敏感なので,恐怖や不安といった負の情動を感じやすいと言われています.恐怖や不安に直面した子どもたちは,身近な誰かにくっつくことで安全・安心を感じ,元気を補充すると再び探検に旅立ちます.この行動特性を発達心理学ではアタッチメントといいます.アタッチメントで重要なのは,子どもが恐怖や不安に直面した時に駆け寄れる存在・安全な場所=避難所に私たち大人がなることです.
ただし,難しいのがこの避難所たる大人の在りようです.キモになるのは,「子どもがSOSのサインを発した時,私たち大人が逃さず敏感に応答する」ことで,これをアタッチメントでは「情緒的利用可能性」といいます.よくありがちなのが,子どもがサインを発する前に先回りして応答してしまうパターンと,逆にサインを発しているのに気付かず応答しないパターンです.後者はちゃんと応答してないのだから良くない事が分かりますが,前者はどうでしょう?子どものSOSの前に応答し,恐怖や不安を回避させているので良い対応のように感じます.でも逆に,安心できる大人と一緒に恐怖や不安を自力で解決してみるという大切な経験の機会を奪い,結果恐怖や不安に対処できなくなってしまいます.ですのでこのタイプの大人には「子どもを信じて待つ」胆力が必要といえます.一方で「情緒的利用可能性」が日頃から適切に満たされている子は,自信をもって新しい環境に踏み込んでいくことができますし,人を信じて待つことや恐怖や不安を上手に乗り越えることができるようになります.
日頃から「手を掛け過ぎないけど子どもが求めた時にはすぐ応答してあげる」係わりをされていれば,きっと長期の休暇明けの不安も,大好きなママやパパを信頼して乗り越えてくれることでしょう.