お砂場でお砂をいっぱい入れたコップからカラのコップに、一心不乱に移し替える子。コップからコップへ移し替える遊びに没頭する年齢があります。お砂場はいいけど食卓ではやってほしくないですよね。でもお砂場で練習を積んだ子は、必ず食卓にあるお茶の入ったコップでもやりたくなります。そして運よくカラのコップがあろうものなら、自信満々にお茶を移し替えます。でもお砂のようには上手くいかず食卓は水浸し、これは大人からみたら失敗なのですが、彼らにしてみればお砂でやっていることと同じ「試行錯誤」。こぼす経験を通して、コップをゆっくり傾ける事とか途中で元に戻す事とか、砂と水は違うんだという事なんかを覚えていきます。彼らにとって、試行錯誤は大切な学習の時間なのです。
「転ばぬ先の杖」ということわざがあります。少なくとも発達途上にいる子どもたちにおいては不要で、逆に試行錯誤という学習の機会を奪うことに繋がります。むしろ積極的に転ぶ(失敗する)べきなのです。そして大人は、そんな状況にあっても動じないで「受け止める」必要があります。
「失敗」という言葉を使うにあたって、議論があったと聞きます。でも敢えて「失敗」を使ったのは、子どもたちの試行錯誤を失敗と捉えてしまう私たち大人を戒める意味もある、と思っています。