地球はほぼ24時間で1回転し、その間に夜と昼が交互にやってきます。
私たちヒトは、この地球の自転にあわせて生活していますが、新生児期は3~4時間ごとに目を覚まし、まだ昼夜の区別はありません。生後1か月を過ぎた頃からようやく地球での暮らしに必要な「概日リズム」と言われる約24時間周期のリズムが現れます。生後4ヶ月には夜は睡眠、昼は覚醒するという1日のもとになるリズムがハッキリして、1歳の誕生日を迎える頃には、夜間に眠りがまとまり、夜は睡眠、昼は活動するというリズムができあがってきます。
でも、このリズム、その年齢がきたら自然と身につくかと思えば、現代社会ではそうはいかないようです。夜になっても外はネオンなどで明るく、部屋の中も電気がついていることが多い現代では、暗くなったら自然と眠り、明るくなったら目覚めるというリズムを作りにくい環境にあります。
生まれて間もない子どもは睡眠と覚醒のリズムをつくる働きが未熟なので夜型の不規則な生活を経験すると不規則なリズムが身についてしまう恐れがあります。子どもが適切な体内時計を獲得するためには、周囲の大人が昼と夜の区別を意識的につけ、規則正しい生活を経験させてあげることがとても大切です。
脳の神経組織は、胎児期から乳幼児期の睡眠中に発達します。眠りには脳機能を創る、育てる、守るという働きがあり、脳機能の発達に大きな役割を担っています。
脳の神経細胞を形成し、神経細胞同士つなぐ学習や記憶の処理に必要な情報ネットワークを作る。
学習能力を高めるために脳の情報ネットワークが高度な処理に対応できるためのメンテナンスを行う。
脳の神経細胞やシナプスの点検・修理・補強をする。
脳の知識工場 「海馬」。睡眠中に知識を蓄えている。今日経験したことを何度も再生し、昨日までの知識とあわせてより高度な知識を生成する。
自分が通常暮らしている場所と時差のある国に行った時、時差ぼけになることがあります。自分自身の体内時計と実際の生活時間が合っていないことで、日中眠かったり、頭が痛かったり、イライラしたり・・・。不規則な生活を続けていると体内時計と実際の生活時間とにずれが生じ、同じ国にいながらも時差ぼけ状態(社会的時差ぼけ)となります。この時差ぼけ状態が続けば、身体や心の不調があらわれてきます。
睡眠・覚醒、深部体温、ホルモン、細胞の再生といった生体リズムが正常に機能していれば、体内時計の働きもきちんと維持できていると知ることができます。
ただ、深部体温、ホルモン、細胞の再生などを測定するためには特別な機器が必要なので、そう簡単に確認することができません。
唯一、特別な機器を使わずとも、体内時計の「健康状態」を知ることができるのが「睡眠」です!入眠・起床時刻を記録し、どんな睡眠のとり方をしているかを見ることで体調や体内時計の「健康状態」をつかむことができるのです。
夜間は、夜7時から朝7時までの間に眠る
夜中に目が覚めることなく持続して9~11時間(平均10時間)確保できていること
入眠と起床時刻がほぼ一定で毎日前後30分(1時間)程度のばらつきに抑えられていること